弁護士と行政書士、司法書士との違いとは?
「離婚専門」であることを強調するホームページの中には、行政書士や司法書士が運営するものもあります。そのため、離婚の相談を考えている皆さんの中には行政書士、司法書士、弁護士のいずれに相談すれば良いか悩む方もいらっしゃるのではないかと思います。
離婚との関係で行政書士や司法書士が取扱うことのできる業務の範囲には法律上の制限がありますので、離婚の相談を考える際には注意が必要です。
行政書士、司法書士が取り扱える内容について
行政書士
行政書士が離婚との関係で取扱うことができるのは、離婚に関する法律相談と離婚に関する合意が成立した場合の合意書の作成に限られています。そのため、行政書士は皆さんの代理人として離婚に関する交渉をすることはできませんし、家庭裁判所における調停・審判・裁判の手続を行うことはできません。
司法書士
司法書士についても、離婚に関する法律相談と離婚に関する合意が成立した場合の合意書の作成をすることができるのは行政書士と同じです。
行政書士とは違い、法務大臣の認定を受けている司法書士であれば皆さんの代理人になることもできますが、離婚との関係では140万円以下の慰謝料請求に関する交渉と簡易裁判所における裁判をすることができるだけに過ぎません。
つまり、司法書士は離婚、婚姻費用、養育費、親権、面会交流、財産分与が争われる事案の交渉をすることはできませんし、家庭裁判所における調停・審判・裁判の手続を行うこともできません。また、慰謝料請求についても、司法書士は140万円を超える事案の交渉や地方裁判所における裁判をすることはできませんし、そもそも慰謝料請求だけが問題になる事案は少ないように思われます。
以上のような弁護士、司法書士、行政書士の仕事の違いを一覧表にまとめると、以下のとおりとなります。
弁護士 | 司法書士 | 行政書士 | |
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離婚に関する法律相談 | |||
離婚に関する合意書の作成 | |||
140万円以下の慰謝料請求に 関する交渉と裁判 |
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140万円を超える慰謝料請求に 関する交渉と裁判 |
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(慰謝料請求以外の)離婚に関する交渉 | |||
家庭裁判所における調停 | |||
家庭裁判所における審判 | |||
家庭裁判所における裁判 |
家庭裁判所における調停・審判・裁判の手続について
行政書士や司法書士の中には、皆さんの代理人になることができない家庭裁判所における調停・審判・裁判の手続について、家庭裁判所に提出する書類を作成し、皆さん本人の名義で裁判所に提出させて、家庭裁判所では待合室で助言をするという形で離婚に関する業務を行っている方もいるようです。
このような仕事のやり方自体、法律に違反しているのではないかという疑いがあるところですが、いずれにしても行政書士や司法書士は家庭裁判所の待合室にまで来ることはできても、調停・審判・裁判が行われる部屋の中までは同席することができません。
家庭裁判所における調停・審判・裁判の手続では、相手方の弁護士とどのように戦うか、調停委員や裁判官の気持ちをどのようにしてこちらに引き付けるかが重要で、そのためには相手方の弁護士、調停委員、裁判官からの意見や質問に臨機応変に対応する必要がありますが、待合室で事前に助言を受けるだけでは臨機応変に対応することは困難です。
皆さんにはこのような弁護士、司法書士、行政書士の仕事の違いを踏まえた上で離婚に関する相談先を選んでいただきたいと思いますし、あらゆる事案を取扱うことができ、家庭裁判所でも代理人として同席することができる弁護士に相談することをお勧めします。
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