離婚が認められたからといって、当然に慰謝料を請求することができるわけではありません。
慰謝料が認められるためには、相手方の行為が、夫婦の関係を破綻させた原因であり、精神的苦痛を負わせる違法なものと認められる必要があります。
例えば、過去の裁判例の中では、夫婦の双方が夫婦の関係の破綻に関与していることが認められ、その責任の軽重の差はにわかに論じ難いとして、慰謝料の請求を認めなかった事案があります(東京地判平成17年12月27日LLI/DB判例秘書登載)。
また、一方が他方の精神的苦痛を夫婦関係の破綻の原因が妻の情緒不安定で衝動的な行動を繰り返したことにあると認めつつ、このような行動は妻の精神病質や未成熟性によるもので、倫理上道義上非難することができないことを理由に慰謝料を認めなかった事案もあるところです(東京高判昭和51年8月23日判時834号59頁)。
したがいまして、不貞行為やDV、悪意の遺棄など、それ自体が違法な行為であることが明らかな場合は慰謝料の請求は認められやすいですが、その他の場合は、離婚の原因となった行為の内容と、その行為によって夫婦の関係が破綻に至ったという経緯を具体的に主張し、証拠も提出して行く必要があります。