不貞が原因で離婚した場合の慰謝料の相場は、100~300万円程度ですが、個別具体的な事情次第でその金額は異なります。過去の裁判例の中には、600万円(神戸地判平成2年6月19日判時1383号154頁)や1500万円(東京高判平成元年11月22日判時1330号48頁)などの高額な慰謝料を認めたものもあります。
過去の裁判例において、裁判所は以下に述べる事情を考慮して慰謝料の金額を決めているように思われるため、離婚専門部における相談ではこれらの事情を聴き取って、証拠を揃えるようにしています。
1関係者の属性に関する事項
- ⑴不貞をされた配偶者の年齢
- ⑵不貞をした配偶者の年齢
- ⑶不貞の相手方の年齢
2従前の婚姻関係に関する事項
- ⑴婚姻期間の長さ
- ⑵婚姻生活の円満さ
- ⑶不貞をされたことに落ち度がないか
3不貞の態様に関する事項
- ⑴不貞の相手方が故意に不貞に及んでいるか、過失で不貞に及んだか
- ⑵不貞の期間の長さ
- ⑶不貞の具体的内容と頻度
- ⑷不貞を主導したのが配偶者か相手方か
- ⑸不貞をした配偶者が不貞関係にないと偽ったか
- ⑹不貞をした配偶者が不貞関係を解消すると約束しつつ不貞関係を継続したか
- ⑺不貞をした配偶者と相手方との間に子の妊娠や出産の事実があるか
4不貞の被害に関する事項
- ⑴不定が婚姻関係にどのような影響を及ぼしたか
- ⑵不貞をされた配偶者がどの程度の精神的苦痛を受けたか
- ⑶不貞をされた配偶者と不貞をした配偶者との間に子がいるか、子にどのような影響があるか
5慰謝の措置等に関する事項
- 不貞をした配偶者が反省や謝罪をしているか
6その他の事項
- ⑴不貞をされた配偶者の社会的地位や職業
- ⑵不貞をした配偶者の社会的地位や職業
- ⑶不貞をした配偶者の資力