離婚の原因は様々ありますが、夫婦間で言い分が食い違うことも多く、その場合、客観的な証拠がないと水掛け論になってしまってどちらが本当のことを言っているかわかりません。
この点、別居期間の長さは、争いようがない客観的なもので、その判断が簡単で、別居期間が長ければ長いほど夫婦としての実態がなくて夫婦関係が破綻していることが明白です。
そのため、別居期間が長ければ長いほど離婚は認められやすい傾向にあり、一般的には3年程度の別居期間があれば夫婦の関係が破綻していると認められやすいと言われています。
もっとも、どの程度の別居期間があれば離婚が認められるかについて、裁判所は、別居に至った原因や、夫婦関係を修復する機会があったかを考慮して個別具体的に判断しているように思われます。
例えば、高齢になった夫が病気がちになって生活費を入れることができなくなった時期から妻が夫の思い出の品々を勝手に焼却するなど夫を軽視するようになった事案では1年程度の別居で離婚が認められていますし(大阪高判平成11年5月16日家月61巻4号85頁)、勝手に別居後約4か月で申し立てられた調停とその後の訴訟以外にはほとんど話し合いの場を持つことができなかった事案では最終的に別居から3年3か月が経過したのに離婚が認められませんでした(名古屋高判平成10年4月8日判タ1198号85頁)。
このように、離婚するために必要となってくる別居期間は様々ですので、私たちが相談を伺う際には、別居に至った原因や夫婦で話し合いの場が持たれたか等も教えていただくようにしています。