医師家庭の離婚は、病院経営が財産分与の点において大きな影響を与えることがあり、また一般的に所得が高い傾向にあるため、養育費の金額、婚姻費用の金額等において、弁護士に依頼することにより結果が大きく異なることが多いです。
また、医師でも開業医か勤務医か、配偶者の職業が何かによっても事情が大きく異なってきますので、ご自身の離婚においてはどのように検討するのが最も良いのか、一度ご相談いただくことをおすすめします。

財産分与について

医療法人の出資持分の問題

医療法人においては、特に結婚してから設立したような場合においては、その出資持分も財産分与の対象となります。
もっとも、医療法人は金融機関から借り入れを行って経営をしている場合も多く、医療法人をどのように評価するかについては大きな争点となってきます。医療法人の経営状況によって戦略も大きく異なってきます。

財産分与の2分の1ルール修正の問題

通常、財産分与の割合については2分の1ルールが採用されているケースが多いのですが、医師や弁護士のような専門職においては、「特別の才能により財産を築いた」と解釈され、個別具体的な要素を考えて2分の1ルールを修正する場合がしばしばあります。
よくインターネットで紹介されている福岡高裁昭和44年12月24日判決は妻側の取得割合を20%としたかなり極端な例ですが、近時の裁判例においては、2分の1ルールを尊重しつつも、個別具体的に考える傾向にありますので、一度ご相談ください。

養育費、婚姻費用について

養育費や婚姻費用については、高額所得者について、「上限論」という考え方を取る場合があります。
これは、養育費算定表の上限を大きく超えるような年収の方の場合に、養育費算定表どおりの計算式を使うと非常に養育費の額が大きくなるため、実際にどのくらいの養育費が必要かを踏まえて検討していく論点です。
どの程度の養育費となるかはケースバイケースですので、養育費算定表で安易に決めるのではなく、詳細についてはご相談いただくことをおすすめします。