相手方が子を連れて出て行ってしまった場合、子を取り戻すためには、家庭裁判所に監護者の指定及び子どもの引渡しを求める審判(または調停)申立てをすることになります(民法766条1項類推、家事事件手続法別表第2第3項4号類推適用)。

また、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるとき(虐待のおそれがある場合等)は、上記本案の申立と同時に、審判前の保全処分の申立てを行うことができます(家事事件手続法105条1項、157条1項3号)。

これらの手続き以外にも、地方裁判所に子の引渡しを求める訴えを提起する方法や、地方裁判所または高等裁判所に人身保護請求の申立をすることも考えられます。しかしながら、家庭裁判所では、調査官により子の福祉の見地からの充実した調査を期待することができ、事件の特殊性に応じた迅速な進行を期待することができますので、やはり、まずは家庭裁判所での手続きをとるべきでしょう。

なお、子の引渡しを命ずる審判がなされたにもかかわらず、相手方が子を引き渡さない場合には、家庭裁判所に履行勧告(家事事件手続法289条1項、7項)をしてもらうよう申し立てることができます。履行勧告がなされたにもかかわらず、相手方が子どもを引き渡さないという場合には、強制執行(直接強制、間接強制)することになります。