財産分与の基準となる時期に自己都合退職した場合でも退職金が発生するケースであれば、財産分与の対象となる可能性が高いです。例えば、東京家庭裁判所の平成22年6月23日の審判を検討しますと、信用金庫に勤務していた夫に対して妻が将来の退職金を財産分与の対象として求めた事案で、財産分与の基準時期を別居時として、夫が信用金庫に30年以上勤務しており、定年間近で信用金庫を退職した場合は退職金の支給を受ける蓋然性が高いことから、財産分与の対象となるとしています。その上で、財産分与としてどの位支払うべきかについては、婚姻後別居時までは夫婦共同財産の維持をしてきたという評価が前提のもとで、「別居時自己都合退職金額×同居期間÷入社してから別居時までの在職期間×0.5」の割合で計算しました。